はい。“ピストル強盗”に遭いました。
日本からの一日以上かけた長旅の末に、やっとベネズエラに到着して、飛行場に出迎えてくれたソニーの社員と市内へ向かおうとしていたときのことです。
われわれは警察に車を誘導されたのです。警官の制服を着ていたので、それに安心してついていったのが運のつきでした。気がついたときには人気の無い場所に連れて行かれ、ピストルを突きつけられ、有り金を全部巻き上げられてしまいました。命まで取られなかったので良かったともいえますが、本当に恐ろしい体験から始まったベネズエラ赴任でした。
ベネズエラでは、ソニーの電気製品を電気店に売るのが私の仕事でした。当時はラジオ、テレビ、ベータマックス(ビデオ)に大変人気があったので、定期的にセールスマンを集めて、売り込むための会議を開きました。
言葉は、今度は全部、スペイン語です。上司は上智大学出身でスペイン語が堪能だったので助けられましたが、ここでも最初の半年間は言葉に苦労しました。ブラジル時代にポルトガル語をマスターしていましたが、スペイン語と似ているようでやはり違うのです。夢でうなされるほどでした。スペイン語を一つずつ覚えるごとに、ポルトガル語を忘れていくような状況でした。
ベネズエラの後は、アラブ首長国連邦(U.E.A)のドバイに赴任しました。赴任したのは1990年6月でしたが、7月に入りクウェートの代理店に1週間出張しました。皆さんもご記憶のことと思いますが、イラクがクウェートに侵攻したのがその年の8月です。
もし出張が1カ月後にずれていたら、私はイラクに半年以上人質になっていた可能性があります(笑)。
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