座右の銘は、「活到老、学到老」です。つまり、「生きている間は絶えず学べる」ということです。人間は年齢を問わず、常に学ぶという精神を心のなかに保つことが大切です。
我々は、学びの最中から、自分の長所、短所を発見することができるのです。その結果として、自分が何を持っているのか、また自分がどういう力を備えているのかが認識され、同時に、自分の人生の役割はこういうことであるということも分かるのです。
一方、自分の短所についても、勤勉を通して修正することができます。学びの精神を持っていなければ、自分の長所や短所がどういうものであるかを認識することすらできないと思います。人との付き合いにおいても、相手の長所を学び、取り入れていって、自分の行動を修正することもできると考えています。
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(奥様と) |
私の愛読書は『老子』(『道徳経』)です。そのなかでも、とりわけ感銘深いところは盡己章第33です。「知人者智、自知者明。勝人者有力、自勝者強。知足者富、強行者有志。不失其所者久、死而不亡者寿。」というところです。
つまり「人を知るのは知者であり、自らを知るのは明である。人に勝つのは力があり、自らに勝つものは意志が強い。足るを知れば富む、強いて行なうは志しある者。所を失わなければ平穏久しく、死して忘れられぬ者は命が長い。」(月洞譲著『老子の読み方』祥伝社P149「己れに勝て」)ということです。
私が20年をかけて商学博士を取得できたのも、老子の言葉が心の支えとなっていたからだと思います。この本と出会ったのは、台湾に戻ってきてからでした。
実は、何年も論文を書き続けるというのは、とてもプレッシャーがかかります。そのプレッシャーを和らげる本はないだろうかと探しているときに出会ったのが、この『老子』でした。意志を強く持ち、自分に克つこと。研究は自分自身との闘いでもありましたので、学位の取得は、自分自身に克った結果だろうと思います。
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