−鶴田さんのお笑いのセンスと才能は台湾三田会でも有名です。てっきり落研関係のサークルにでも所属
されていたのかと思っていました。
いいえ。大方の予想を裏切って申し訳ないのですが(笑)、落研での活躍はありませんでした。
ただ、私は中学、高校を関西で過ごしたのですが、夕方6時から始まる寄席の番組が好きで毎日、見ていました。そして、その頃からの吉本興行ファンでもあります。
その影響でしょうか、私も人を笑わせたり、人が喜ぶことをするのが好きになりました。人に「ありがとう」といわれると非常に嬉しいのです。ですから、お客様に喜ばれる商品を提供する今の仕事は、自分にあっていると思います。
入社して初めて配属されたのは紳士服のフロアで、私は背広を売っていました。背広は決して安い買物ではありません。ですからお客様は、「この背広にしよう」と決められるまでは、何度か試着をされます。「こういう風なものがほしい」というお客様の希望をお聞きすることから始まって、お客様とは少なくとも15分から20分くらいお話しさせていただきます。そうして最後に、お客様が「ありがとう」といってくださる。はじめてお客様からその言葉をお聞きしたときに、その一言がとても嬉しかったのです。
当時は、大卒の人たちは、みんな売り場に立って販売業務をするのを嫌がりましたが、私は逆に大好きでした。売り場に立ちたい、といつも思っていました。上司はそんな私をみて「珍しいヤツだな」といいましたが、接客の仕事は、大変張り合いのあることでした。
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