台湾語は台湾の母語ですが、現在若者は北京語(国語)を好んで使うことが多く、台湾語を流暢に話せる人の年齢が、次第に上がって来ていると言う問題があります。原因の一つとしては、戦後の国民党時代による中国文化の権威的教育の展開と、台湾語が全面的に禁止されていた一時期があったことが考えられます。
中南部の家庭では親がまだ使っていますので、子供も話す力が残っています。しかしこれに対して、北部、特に台北市は最初から国民党の教育が最も徹底されたところであり、加えて、都市化や国際化のスピードが速く進行しているため、台湾固有の言語や文化というものの損失が、最も早く、最も大きいとも言えるでしょう。
90年代から本土意識(台湾意識)の高まりにより、母語教育も「郷土教育」の一環として重要視されるようになってきました。2002年度からやっと台湾語は小学校の一科目になって、週に一度教えられ始めました。しかし、長い間台湾語は教育の外に置かれていましたので、日常生活で使わない台湾語を、週に40分の授業だけで子供に身に付けさせることは難しいことです。
そのうえ、台湾語の表記方法(ローマ、TLPA、通用)の選択は、各県市に委ねられており、全国でまだ統一されたものがありません。台湾語の教育は、教える側も、学ぶ側も、暫く混沌の状態が続くように思われます。
しかしながらこの百年の歴史を振り返ると、これは台湾語が本格的に国の教育殿堂に登場した最初の1歩であり、それだけに高く評価すべきことと思います。従来、母語はその国の文化の伝承の役割を果たす最も重要な存在ですから、世代交代の節目に母語教育に一層の関心を払うべきです。一台湾人として、これからの台湾語教育が順調に発展していくことを心から願っています。
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