な~るほど・ザ・台湾 2007年7月号より |
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トップブランドのダンロップ販売
世界のトップブランドであるダンロップのタイヤとゴルフ用品やテニス用品を台湾の総代理店として販売しているのが、国住橡膠股份有限公司(宗澤進総経理)である。元々、英国ダンロップ社がダンロップブランドを展開していたが、1980年代に日本の住友ゴム工業の経営となり、現在に至っている。同有限公司はそのグループ企業として、台湾地区の販売だけでは市場は小さいものの売り上げの伸びは好調である。
日本におけるダンロップの歴史は古い。1909年に英国のダンロップ社の工場を誘致したのが始まり。日本発の近代的ゴム工場として創業。自動車タイヤ・チューブ、人力車タイヤの生産を開始した。13年には自動車用タイヤの生産を開始して、国産第1号タイヤを誕生させた。ダンロップの歩みは日本のタイヤの歴史でもある。
1983年には英国ダンロップの持株引取りにより経営が全面的に独立し、84年に英国・西ドイツ・フランスの6工場およびタイヤ技術中央研究所を引き取った。85年には米ダンロップに資本参加して技術援助を行い、翌年には資本の過半数を取得している。現在では、住友ゴム工業がダンロップを代表している。
創業26年目になるダンロップ製品販売
国住橡膠股份有限公司は創業26年目。元々はダンロップ製品を扱う自動車会社の国際汽車のタイヤ部として発足したのがその前身。その後、国際汽車と住友ゴム工業などが同有限公司を設立した。さらに国際汽車が本業に専念するため、資本を引き上げることになり、台湾の林ファミリーと住友ゴム工業、住友商事のパートナー経営となった。現在は住友ゴム工業グループのSRIタイヤトレーディング㈱からタイヤを、SRIスポーツ㈱からスポーツ用品の供給を受けている。
売り上げの4分の3はタイヤ、スポーツ用品は4分の1といった割合。タイヤについては、台湾内に工場がないため、日本、インドネシア、タイなどの工場から輸入販売している。輸送コストがかさむため、新車用のタイヤは販売しておらず、アフターマーケット用に供給している。
輸入タイヤという性格上、台湾メーカーと比較すると価格も高いが、高品質のタイヤとして乗用車、大型トラック、モーターサイクルに的を絞って展開している。直販点はないが、系統店30店位を擁している。これまで現地生産のタイヤとともに並べられていただけという実態があったが、3年前に現職に着任した宗澤総経理は各店に対してダンロップ製品を優先的に販売してくれるよう指導を強化した。宗澤総経理は「昨年は問題のあった系統店を改善しました。全体的に成果が出るのはまだまだ先です」と話し、地道な努力の必要性を強調している。
昨年から前年比ダウンしている新車販売が影響
タイヤ販売は自動車販売と連動している。現在、台湾では自動車の新車販売台数が昨年前年同期比約30%ダウン。本年1~5月が約20%ダウンという状況である。「自動車販売数が20%落ちているからといって、それがそのままタイヤ販売にストレートに表れている訳ではないのですが、それでも10%前後減っています」と宗澤総経理。
タイヤの原材料の高騰も頭の痛いところ。天然ゴム以外は原油製品なので、原油高をもろにかぶる。それだけにここ3年間、毎年値上げを行っているが、それが市場価格にどれだけ反映されているかわからないという。過当競争から販売店が値上げ分を飲み込んでしまって、価格を据え置いていることもあるからだ。
タイヤより知名度高いゴルフ用品
ダンロップと言えば、元々タイヤ製品で知られているのだが、現在ではスポーツ用品の知名度がより高い。ゴルフ用品はゴルフクラブ、ボールから、ウェアまでそろえている。テニス用品は、ボール、ラケット類である。
特にゴルフ用品は、業界をリードする立場にある。アジア対象のオールラウンド用ゼクシオ、全世界を対象にした中上級者用のスリクソン、一般者用のハイブリッドの3ブランドで世界に打って出ている。昨年からは世界第2位ランキングのジム・フュ-リクと契約して、ブランドイメージを確固なものにした。
台湾は以前からゴルフ人口が100万人を超えるといわれているゴルフが盛んな地域。それだけに各ゴルフ用品メーカーがしのぎを削っている。その中でダンロップは常にトップを走っている。しかしここ数年、ゴルフ人口が減っているという現状がある。
それは100万人以上もの台湾人が中国に居住して働いているためである。その人たちの多くはゴルフを楽しむ層で、台湾でゴルフを余りしなくなっている。SARS騒動の際には、一時的に中国から台湾に戻った人たちが多かったので、台湾のゴルフ場は賑わったという。これに対して同有限公司はスリクソン杯と名付けたゴルフコンペを、台北、台中、台南地区でそれぞれ年1回開催するなど、ダンロップ製品のPRに努めている。
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住友ゴム工業で新車のタイヤ販売部門や国内代理店部門、宣伝部門を中心に歩いてきた宗澤総経理は、海外勤務は初めて。日本語が通じやすい土地柄だけに暮らしやすいとするが、「それだけに言葉を覚えなくてだめです」と宗澤総経理は苦笑いする。
台湾ならではの問題として転職の多さを指摘する。今は実績が上がっているので、会社を辞める人が少ないという。そこには日本流の会社がよくなれば、そこで働く人間も良くなるという考え方は見られない。それだけに宗澤総経理は着任以来、トップダウンではなく、下から意見を出させる方式を採っている。自分たちの会社は自分たちで作るという発想である。
宗澤総経理の指導が実るのはこれからのようである。■
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宗澤さん(台湾三田会副会長)より会員の皆さんへ一言
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台湾三田会の皆様、周りを見渡して塾出身者が居られたら、気楽に三三会(毎月第三水曜日)に参加する様、 声かけをお願いします。 最近は若い方々の参加も増えて、益々楽しい会になっております。
美味しい食事とお酒、そしてワイガヤで楽しみましょう! |
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